ノバセル田部氏と紐解く「経営目線とは何者か?」〜 イベントレポート〜

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登壇者

田部 正樹さん

ノバセル株式会社 代表取締役社長

大学卒業後、丸井グループに入社。主に広報・宣伝活動などに従事。2007年テイクアンドギヴ・ニーズ入社。営業企画、事業戦略、マーケティングを担当し、事業戦略室長、マーケティング部長などを歴任。2014年8月にラクスルに入社。マーケティング部長を経て、2016年10月から現職に就任。ラクスルの成長を約50億かけて事業成長を実現してきたマーケティングノウハウを詰め込んだ新規事業「ノバセル」を2018年に立ち上げ急成長を牽引。2021年12月ノバセルの代表取締役社長に就任。

扇谷 勇多さん

ファインディ株式会社 執行役員 社長室長兼事業責任者

新卒でマイナビに入社後、法人向けにクリエイティブ職の人材紹介を担当。その後、i-plugに入社し、OfferBox・新規サービスの法人営業マネジメントを経験。翌年2人目社員として当社に参画。エンジニア向け転職サービスの立ち上げ、グロースを経験し、現在は執行役員として、社長室長兼事業責任者を担当。

イベント実施の背景

「経営目線を持つことが成長に繋がる」。

ビジネスパーソンとして日々活躍されている方々は、このフレーズを耳にしたことがあるのではないでしょうか。経営幹部やマネージャーを志すならば、この「経営目線」を養うことは必要不可欠でしょう。

しかしながら、この「経営目線」というものが何を示すかという点について、自分の言葉で説明できるでしょうか?抽象度が高いまま、なんとなく理解したつもりになっていないでしょうか?

今回は、経営者として活躍されているノバセル株式会社の代表取締役社長を務める田部さんをゲストにお招きし、田部さんの考える「経営目線」について弊社執行役員の扇谷と共に深ぼっていくイベントを実施しました。

そもそも「経営目線」とは何者か?

扇谷 今日のイベントに参加してくださっている皆様の中には、経営幹部としてのキャリアを目指されている方も多いのではないかと思います。一方で、実際に経営幹部として活躍できる方は一握りというのも事実です。この狭き門を突破するために、何を考え、どのように行動していけば良いのかを、田部さんと一緒に考えていければと思っています。

早速ですが、本題である「経営目線」とは何者か?という点を最初のアジェンダとして紐解いていければと思いますが、非常に抽象度が高いテーマなので、噛み砕いて質問させてください。

例えば、田部さんが一緒に働かれている若手社員であったり、選考中に出会う方の中で

「この人は将来経営幹部として活躍できそうだな」と感じる方の共通点は何かあるのでしょうか?

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田部 私個人もそうですし、会社として定義しているものがあります。

どのような定義かというと、経営者というのはこれからお話しする「6つのマスの3つ以上」を満たしている方だと捉えています。

この6つのマスを紹介しますと、横軸が「事業」「組織」「財務」の3つ。そして縦軸が「連続」と「非連続」です。例えば、「事業」×「連続」というのは事業の改善を日々続けるという行為で、「事業」×「非連続」というのは今の延長線上にない新規の事業を創っていく行為です。「組織」というのは採用や育成を通じた組織の成長の観点。

「財務」というのはM&Aや資金調達を通じて会社の成長をより加速させていくという観点です。このように、経営者というのは自分自身のコアな能力を活用し「事業」以外の部分にも染み出していける方が相応しいと考えています。扱える領域を拡張していく意志や視座を持つことが重要です。

加えて、経営目線が育ちやすい状態についても触れておくと、どれだけ早いタイミングで事業のP/Lをコントロールする経験ができるかに尽きると考えています。どれだけ小さい単位でも構わないので、ただ売上を高めることだけではなく、いかに利益を残せるかという観点を意識することです。

扇谷 私も日々メンバーのマネジメントや面接にて候補者の方々とお話しする機会がありますが、Howから会話を始められる人が多いことを感じています。例えばマーケターの方であれば「マーケティング予算はどれくらいありますか?」であったり「デジタルマーケティングのメイン手法は何を活用されてますか?」のような類です。

田部さんがお話ししてくださった内容を振り返ると、このような局所的なHow論ではなく、全体を俯瞰し事業の戦略面であったり、ひいては会社の成長から逆算して細部を捉えていくことが重要なのだろうと感じるのですが、改めて「6つのマスの3つ以上」を満たせる可能性を感じる人材の共通点があれば教えてください。

田部 「好奇心・探究心」があるかだと思います。常に新しい学びを得て成長しようとしているのかという観点です。逆に、それらを持っている人でなければ、スタートアップで働いても幸せにならないと思います。例えば、スタートアップで働いている方は分かると思いますが、3ヶ月前に決定した会社の方針が、トライ&エラーを繰り返した結果、180度変更されることなどは容易に起こります。そうなると、働くメンバーの役割や求められる期待も日々変わるわけです。

このような変化の激しい環境を成長の糧として捉え、楽しめる人というのが「好奇心・探究心」を持っている方に多いと思っています。

扇谷 6つのマスの縦軸である「連続」と「非連続」ですが、連続的成長というものはなんとなく参加者の皆さんにとっても身近なものかと思います。一方で「非連続」という点については、具体的にどのようなアプローチで成し遂げられるのかイメージが湧きづらい部分かと思いますが、教えていただいてもよろしいですか?

田部 元ネスレの高岡さんが定義していますが、「連続」というのは「リノベーション」です。これは、お客様の声や見えている数字をもとに、日々改善を行った結果もたらされるものです。

分かりやすい例として扇風機を挙げると、扇風機が回転するボタンをつけるというアイデアは「リノベーション」の類です。そして「非連続」というのは「イノベーション」です。ダイソンが実現した、そもそも扇風機の羽自体をなくしてしまおうという発想がそれに近いと思います。

両者に優劣があるわけではなく、どちらも事業を成長させる上では非常に重要な概念です。一方で「リノベーション」のみの成長は線形になります。スタートアップの成長はよくJカーブと言われますが、非線形の成長を追い求める必要があります。

ここで重要になってくるのが「イノベーション」です。「イノベーション」はまだ人が気づいていない課題を解決したり、人が諦めている課題を解決したりすることです。つまり、未踏の領域なのです。だからこそ、飛躍的に難易度が上がりますが、正しくアプローチできれば非線形に劇的な成長が得られるものになります。

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扇谷 まだ人が気づいていない課題やニーズを捉えるために意識すべきことは何かありますか?

田部 2つあります。

1つ目は、世の中や業界のトレンドを理解し、将来どうなりそうかを考えることです。例えば、ファインディさんの一つの事業ドメインである「エンジニアの開発生産性の向上」という領域についても、数年前にここに課題やニーズが表出することをファインディさんが捉えられていたから今事業が非線形に成長しているわけですよね。

2つ目は、お客様のニーズに向き合っていくことです。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、ここを正しく理解しインサイトを抽出することは非常に難しいことです。よく本音と建前と言われますが、この本音の部分がインサイトです。例えば、皆さんが買った飲み物が机の上に置いてありますよね。なぜその飲み物を購入したのか?なぜそのブランドを購入したのか?等をヒアリングしても、明確な回答は出てこないものなのです。人の購買行動というのは、潜在的な心理が複雑に絡み合って実行されているものなので、言語化しづらいのです。

ではどうしたらインサイトを抽出できるのかと言いますと、飲み物の例でいうと、その飲み物を購入した時にどのような気持ちを持っていたか?であったり、はたまた今日の朝に食べたものは何か?であったり、直接的な購買動機とは一般的には考えづらい角度から問いかけていく必要があるのです。このように、人の深層心理の本質を特定するようなアプローチが重要ということです。

扇谷 今までのお話を整理すると、経営幹部を目指すならば「6つのマスの3つ以上」を埋めることが重要であるということ。そして「連続」だけでなく「非連続」の観点も持つべきであるということ。そこで「好奇心・探究心」を持つことが、まだ誰も気づいていない課題やニーズを特定することにも役立ち、結果的に「非連続」を生み出す原点になること。このように繋がったと感じました。

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田部さんはいかにして「経営目線」を身につけたのか?

扇谷 1つ目のアジェンダで、経営目線とはそもそも何なのかという点を田部さんと共に深ぼってみました。2つ目のアジェンダでは、その経営目線を田部さんご自身はどのようなご経験から身につけられたのか?という点をお聞きできればと思っています。

事前に田部さんがインタビューを受けていらっしゃる記事を拝見したのですが、その中で「自身が望んでいなかった業界や仕事に携わることで、社会人としての戦闘力を向上させてきた」というお話があったのですが、まず最初にその詳細を教えてもらえますか?

田部 何がお伝えしたいかというと「コンフォートゾーンを抜けるタイミングを意図的に作ることで、人は成長する」ということです。ずっと心地よい環境に身を置いていると、人の成長は止まってしまうと思っています。一方で、ずっと辛い環境に留まり続けてしまうと、心理的負担が大きくなってしまうが故、成長云々の話ではなくなってしまいます。

つまり、成長をするためにコントローラブルな範囲でコンフォートゾーンを抜けることが重要だと考えています。私の今までを振り返ると、例えば一社目にはマーケティング担当として入社をしましたが、当時の経営陣や上長が手書きで作成した資料をパワーポイントに落とす等の仕事も多くしていました。「マーケティング担当として入社をしたにも関わらず、なぜ自分がこのような仕事をしなくてはならないのか」と感じる時もありましたが、今思うとその作業を通じて社会人1年目のタイミングから、経営陣が捉える視点や視座を学べた非常に稀有で価値の高い経験だったと感じています。二社目からはスタートアップに行きましたが、スタートアップというのは、よく言われるWill/Can/MustのCanとMustが占める部分が多いわけです。Willと異なる領域の仕事をすることも多いわけですから、楽しいことばかりではないのですが、辛いと感じていたタイミングの方が成長できたという実感は間違いなくあります

1つ目のアジェンダで事業成長のJカーブについて少し触れましたが、このJカーブは人の成長においても必要だと考えています。どこで苦労してJカーブの下の部分を作るかというのが重要だと思っています。今でも意図的に作っています。

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扇谷 私自身も、ファインディに入社した当時は「事業開発に携わりたい」というWillを持っていましたが、最初は希望が叶わず、現場の様々な職種を経験しました。振り返ると私も当時の経験がなければ今の自分はなかったと確信しています。

まさに、田部さんがお話しされたCanとMustの部分を泥臭くやり続けた結果、Willに近づくことができたと思っているのですが、このWillの部分を田部さんの中でどのように捉えていらっしゃるのか、教えていただけますか?

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田部 2つあります。

1つ目は、この会社が何を成し遂げたいのかというビジョンにいかに共感してもらえるかです。職種や日々の業務に対する個人としてのWillとは多少ずれても、会社のビジョンへの共感度が高い状態であれば、人はついてきてくれると思っています。一緒にやり続けることができれば、結果的に扇谷さんのように業務に対するWillに近づくタイミングが出てくると思っています。

2つ目は、個人としてのWillをどこまで分解し、具体的に捉えられているかです。例えば「事業開発をやりたい」というWillがあったとしても、その経験が乏しい方であれば、いきなりはやはり難しいと思います。では、どうしたら事業開発ができるようになるのか。それを逆算し、ステップを具体的にし、一歩ずつ登っていくような考え方が重要です。

扇谷 これは私の主観も入りますが、創業された経営者は別として、COOやCFOをはじめとする役員含めた世の中の経営陣の方々は、WillよりもCanとMustが強いような気がしています。この点について、田部さんはどう思われますか?

田部 経営陣ともなると、Willが個人の成長等ではないケースの方が多いということだと思っています。例えば私であれば「マーケティングの民主化」を目指しているわけですが、抽象度は高いですし、実現に際して長く時間がかかるものです。故に、数年後に自分がどうなっていたい等の観点ではなく、人生をかけてマーケティングの民主化というミッションに向き合っていくというイメージで日々過ごしています。

扇谷 つまり、個人のWillがCanとMustとアラインしているというイメージなわけですね。

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田部さんが今20代だったら、どんな環境を選ぶのか?

扇谷 2つ目のアジェンダと少し似ていますが、最後のアジェンダとして、田部さんが今20代だったとしたら、どんな環境に身を置きたいと考えられるのかお聞きしたいのですが、いかがですか?

田部 「何をするか」ではなく「誰と、何をするか」が私は重要だと思っています。この人と一緒にやるのであれば、最悪失敗しても良いかなと思える環境で仕事をしたいです。今日は色々とお話ししてきましたが、私が成長できた再現性は振り返ると「人」に尽きると思っています。自分に大きな影響を与えてくれる人の隣で働けたということです。よって、この人のようになりたいであったり、この人と一緒に働きたいと思えるような人を見つけられるかという点が大切だと皆さんにお伝えしておきたいなと思います。

私個人で言いますと、特に二社目のテイクアンドギヴ・ニーズにいた時に、現在代表取締役会長を務められている野尻さんの隣で働けたことが非常に大きかったと思っています。何を教えてもらったかというと「1円の価値」というものを教えてもらいました。会社の予算が当たり前にあって、それをどこに使うかという観点から考えるのではなく、自分のお財布からお金を出すとしたら、本当にそれをやるのかという視点で物事を考えることを教わりました。まさに経営者としての感覚がそこにあると思っていまして、私も20年ほど社会人をやっていますが、今でも日々その時を思い出しています。

ファインディさんの経営陣である扇谷さんにお伝えするとしたら、これから会社がより大きくなっていく中で、そういう人たちが多くいる組織をこれからも維持していかないと、人がどんどん辞めちゃいますよってことです(笑)。

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扇谷 もちろん、頑張ります(笑)。私も、代表の山田とは今まで何度も意見をぶつけ合いながらやってきましたが、彼の描くビジョンや人間性などを心底リスペクトしていて「この人と一緒にやって、万が一失敗してしまうならそれも良い経験だな」と思えています。

その気持ちがなかったら、ここまでやれなかったかもしれませんし、田部さんのおっしゃったことは非常に大切なことだと共感しています。

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田部 参加者の皆さんにアドバイスをすると、そんな風に思える可能性のある人に、会いにいった方が良いです。ではどんな人が良いのかというと、私個人としては、自分にないものを持っている人であったり、耳の痛いことを率直に話してくれる人だと思っています。

そして、私がよく話すことなのですが、そういう人が見つかった時に、すぐ会いに行ったり、すぐアクションに移せる人と、立ち止まっちゃう人の間では成長の速度に大きな差が生まれてしまうと思っています。あれこれ考えずとにかくまず会ってみる、行動してみるという素直さをこれからも忘れないで欲しいと思います。

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